産経新聞「なるには學問堂①」 2015.10.3

掲載紙
産経新聞(朝刊)
掲載日
2015年10月3日

2015年10月3日の産経新聞(朝刊)に掲載されました

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記事

夢を語り合える場 提供したい

この春、大阪市北区に子供の才能開花を目的とした学童保育サービスが誕生した。アフタースクール「なるには學問堂」。人材派遣やコンサルティングを手がける「スペック」の社長、上村英樹さん(43)が畑違いの新事業に乗り出したのは、働く母親が子供の小学校入学を機に仕事と子育ての両立が難しくなる「小1の壁」に、自身の家族も直面したことがきっかけだった。

放課後児童クラブ(学童保育)との違いは

元Jリーガーの奥野僚右さんや現役トップスタイリストの西ゆり子さんら、夢をかなえて第一線で活躍している一流の人たちによる講話会をはじめ、子供が夢を実現するための才能を伸ばすプログラムを展開しているのが大きな特徴です。夢をかなえた人、才能を開花させた人に子供たちへ語りかけてもらうことで、子供たちの「なりたい」気持ちを刺激します。
宿題を終えた後に読書をしたりして過ごす一方、子供の才能を開きたいという共通理念を持つ講師陣による多種多彩なプログラムを用意。45分間のコマ立ててサッカー教室やウクレレなどの音楽の授業も行います。私は学長として運営に当たります。

共働きの上村家も「小1の壁」に直面したのですね

昨年、長男が小学校へ進学した時が本当に大変でした。それまで保育園では午後7時まで預かってくれていましたが、進学を機に利用した学童保育は午後6時までに学校へ迎えに行かなければいけない。妻は5時半に退社しなければ間に合わないんです。ご飯の問題もありました。周囲も同じような悩みを抱える友人が多かったようです。
そうした自らの体験から、うちでは午後8時まで預かれますし、希望者には夕食の手配もします。そして何より、学童保育にはない特色を持つアフタースクールを立ち上げたいと思いました。

子供の才能開花とはどのようなことでしょうか

具体的には「これになりたい!」と強く思うことが出発点ですよね。私は3人の子供を育てる父親でもありますが、みんなやりたいこと、時間の過ごし方が違う。彼らの本当の天分って何だろうと思ったりするのです。才能を開いてあげるための最高のリトマス紙は、本物に出会わせてあげること。まずは「うわあ、かっこいい!」という思いが挑戦につながると思うのです。

≪5月の開業後、既存の学童保育にはない魅力を感じる保護者数人がすでに利用を始めている。兵庫県西宮市から8歳の長女を預ける母親は「子供の持つ可能性は無限大で絞り込むのは難しい。一緒になって娘の才能を伸ばそうとしてくれるのが心強い」と選んだ理由を明かす≫

でも、本当に夢をかなえている人は意外と少ないのではないですか

親なら誰もが子供の才能を伸ばしてやりたいという気持ちはありつつも、成績を気にしたり「そんなアホなこと言って!」なんて言って、大人の理由で選んでしまうこともありますよね。あと、大阪は笑う文化があるでしょ。「足元見いや」とからかわれたりした経験のある人もいますよね。
でも、夢をかなえた人が語る話から出てくる思いや情熱といった生の感情に触れることは、幼い子供にいい経験になるし、いろんな分野の人から話を聞ければとても刺激になり、夢を語ることがおかしなことではなくなるはず。だから「いいんじゃない、やってみなよ」と言ってもらえる安心感のある環境でありたい。自由に夢を表現し、語り合える場を提供したいのです。

文・写真 木ノ下めぐみ

上村英樹

昭和47年、大阪市生まれ。関西大学卒業後、JR西日本入社。平成9年に職場の仲間と人材派遣を中心に手がける「スペック」を設立。ガソリンスタンドへの人材派遣や、資格取得の短期講座などの事業を中心に展開。3人の息子の父親でもあり、「学校よりも長い時間を過ごすアフタースクールだからこそ付加価値のある時間を過ごさせたい」と、学童保育ビジネスに可能性を感じている。