- 掲載紙
- 月刊ガソリンスタンド
- 掲載日
- 2015年2月
記事
人材会社からいかに有益な人材を提供してもらうか
人材キャリアのプロが提唱する
人材会社活用法
SS業界でも労務閉店の危機!?
第二の人材ソースを確保する
都市部で目立つ平日の定休日。主にフルサービス店で、人操りがつかづ平日に定休日を設ける店舗が急増しています。同時に、全国的にSSスタッフの時間給が高騰しています。当然ですが、業界が潤っているわけではありません。求人を掲載しても応募者が来ないために、時間給をあげて応募者の誘導を競っているのです。
背景にあるのはアベノミクス効果や2020年のオリンピック・パラリンピック効果などから、都市インフラを急ピッチで進めるために建設系人材が掻き集められていることです。そのしわ寄せが多くの業界へ波及して、労働力不足が深刻化しています。
冒頭からいい話ではありませんが、SS業界でも2020年までは採用状況が快方に向かうことはないでしょう。とは言え、備えあれば対処は可能です。見方を変えればチャンスの到来。この人材不足が続く状況下で、いかに優秀な人材を獲得できるかが業界での勝敗のカギになると私は考えています。
創業から18年、SSへの人材提供を行ってきた人材会社スペックの社長として、不定期となりますが数回に分けて採用以外の人材獲得法をお伝えすることにいたします。初回となる今月号では、人材会社の上手い活用法についてお話させていただきます。
不測の事態には即戦力スタッフを派遣してもらう
派遣会社は暫定活用に留める
従来は、スタッフが退職すると求人活動を行い、応募者から新たな人材を採用して欠員を補充していました。しかし求人に応募者が来ないとなると話は別です。
昨今のような採用できない状態が続くと、既存のスタッフに労務負荷が重なり人為ミスや事故が多発します。結果的に、既存スタッフも退職し、更なる人材不足へと陥るケースは多く存在します。それら悪循環を断ち切る有効策の第一番目は、派遣会社の活用です。
ポイントは、優秀な即戦力スタッフを時限的に派遣してもらうこと。多少時間単価が高くても、あくまで時限措置です。少ない業務指示でも、気転を利かせて柔軟に働いてくれる人材でないと意味がありません。単価に目を奪われて素人や使えない経験者が派遣されると、店舗の業務負荷は極度に高まり逆効果となります。
現在、小規模ながら地域でがんばっているSS向け人材会社は存在します。業界経験者を採用して、独自の教育を施し、派遣会社の社員として取引先で派遣就業をさせている会社が理想の取引相手です。
結論から言うと、そのような派遣会社と普段からうまく取引をして関係をつないでおくことです。社員の病欠や突然の退職など、店舗運営における欠員は日常茶飯事です。そのような状況に陥った際、見込みの薄い従来の求人手法に期待するのではなく、具体策として馴染みの派遣会社に即戦力スタッフを用立ててもらうことが賢い方法というわけです。
ここで重要なのは、派遣スタッフ受け入れのマナーや責任区分などを関係法令も踏まえて店舗側スタッフが学んでおくことです。人材派遣業は、法律によって業務や期間の定めがあり、単価も安くはありません。これらの教育が時限策として派遣スタッフを活かし、既存スタッフにもなすべき役割に徹してもらうことにつながります。
恒常性があるなら請負会社を活用する
請負契約は成果の達成が前提
不測の事態など、暫定措置として人材が必要となった時には即戦力の派遣会社を活用せよと述べました。しかし恒常性があるなら話は変わってきます。
請負契約と派遣契約の違いは、大まかに言えば業務指揮の命令系統がどちらにあるかです。他店舗を広域展開する販売会社などは、請負契約の特性を活かして、遠隔地や採用の厳しい店舗の実を運営委託するケースも少なくありません。
請負会社を活用するメリットは細かい業務指示を必要としないところでしょう。技術力、教育力、問題解決力がある会社なら、かなりの部分を請負会社独自の運営力でカバーします。請負契約は成果の達成が前提です。
当社スペックの場合で言えば、実績報告と次月の計画など、月に1~2回程度の打ち合わせで複数店舗を継続受託するほど、その手間は少なくてすみます。そのためにも、任せて安心な請負会社を選びましょう。契約時に適法化で運営していても状況は変わっていきます。
人材集めが苦しくなる中で、求人費が嵩んで収支が合わなくなると、またスタッフをそろえられない状態が続くと請負会社が突如撤退することも起こり得ます。加えて、人材不足状態で消防法違反による重大事故が発覚した場合の損失は計り知れません。委託金額のみならず、継続して適法化で運営できるのか、事故時もきちんと対応できる会社なのかを総合的に判断することが肝要です。
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今月号お話しした人材会社の活用法はこれでおしまいです。石油業界において、今後人材を確保することの難しさは一層顕著になると思います。その現実を見据えて優良な人材会社との関係を構築していきましょう。
人材会社を見極めるポイントは、スタッフを教育し、資格者を育成する仕組みを内在しているかどうか。また、そのかいしゃのスタッフが輝いているかどうかです。ここは感覚的な部分が多いですが、長期で安定した運営を任せられるかどうかは、その人材会社自体が魅力的な経営をしていないとあり得ません。
多様な人材を戦略的に使えるようになれば、同業他社の中であらゆる面で優位性を持つ時代の到来です。人材面においても、読者の皆様が未来を切り拓くことを願っています。