月刊 先端教育 「なるには學問堂」 2020.06

掲載紙
月刊 先端教育
掲載日
2020年06月01日

2020年06月01日の月刊 先端教育に、なるには學問堂が掲載されました。

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学童保育とおけいこ事を一体化し、多彩なプログラムで子どもたちに愛される「なるには學問堂」。
2015 年にスタートした同施設は、人材支援事業などを展開するスペックが運営する。
「ここはモノのないディズニーランド。夢を育む空間です」と話す学長の上村氏に、その魅力や独創性を聞いた。


記事

子どもの無限の可能性を
引き出す学童保育

大阪市北区に2015 年にオープンした「なるには學問堂」。
創業23 年のスペックグループが、子育て支援事業の新規事業として開始した、民間の学童保育だ。
スペックの社長で、なるには學問堂の学長でもある上村氏は、自身の長男が小学校に上がるタイミングで、学童保育の在り方について、真剣に考えたという。
主に公立小学校の中にある認可学童保育は、厚生労働省管轄の福祉行政として運営されている。
無料で利用できるが、夜18 時以降は預かってくれず、また文部科学省管轄の学校組織ではないため、教育促進は行わず、両親が働いている間、子供を安全に見守るだけの場所になっているのが実情だ。
「18 時までに迎えに行くということは、距離によっては1 時間前には会社を出なければ間に合いません。
時短ワークが物理的に相当強要されます。
一方、放課後は子どもが一番輝く時間帯。
その時間に、子どもの才能を引き出してあげたいと思っていました。
当時、そのような学童保育は長男の通う学校にはなかったので、自分で作ったのです」と上村氏。
なるには學問堂は、「子どもたちのなりたい〉を徹底的に引き出す」、「子どもたちの〈なりたい〉を徹底的に刺激する」がコンセプト。
指導員は、子供の〈なりたい〇〇〉になるには?という素朴な疑問に寄り添って、子どもと一緒に考えてルートマップを描いていくという。
「日本には“天から授かった唯一の才能を、私たちの誰もが持っている”という考えが古くからあります。
子どもたちは、十人十色、誰もが無限の可能性を持っています。
それを信じ、見つけ、引き出し、それぞれの〈○○になりたい〉夢を育て応援するのが、私たち指導員の仕事です」

夢を具体化する独自の取り組み

最大の特長は、学童保育と、自分の〈○○になりたい〉という夢に近づくためのおけいこ事が一体化していること。
学童に到着すると、まず宿題を片付ける。
その後おやつを食べ、16 時過ぎから「なるにはプログラム」として、様々なプログラムに参加する。
プログラムは毎日数種類が開催されており、子供たちは興味のあるものへ参加することができる。
例えば、数理力を高めるそろばん、語彙力を広げる日本語力アップ、国際感覚を養う英語、芸術力を高める創作アート、プレゼン力を鍛えるじぶん表現力など、目的別に構成されている。
それ以外に、年に数回開催するビジョンマップの「夢筆(ゆめふで)」をつくるプログラムも欠かせない。
上村氏が講師を務める人気プログラムで、自分の〈○○になりたい〉夢を、カメの手足に絵や写真、文字などで書き込んでいく。
一番なりたいもの、二番目になりたいもの、学生時代にやりたいこと。
そして、その〈なりたいもの〉になった時に助けたい人や喜ばせたい人についても書き添える。
「“野球選手になりたい”、“お医者さんになりたい”……。思いつきであれ、よく考えた結果であれ、そのなりたいものになった時に、誰を助けてあげたいのか、誰を喜ばせたいのかを考えることで、夢はグッと深まり、本物に変わっていくのです」
もう一つ、独自の取り組みとして、指導員が集まり月2回ほど行なう「天才会議」がある。
会議では、特定の子どもの天才性を指導員が議論して「天才リスト」にするのだ。
なるには學問堂の指導員は、子どもの持つ天賦の才を信じるところから始まる。
プログラムの最中も自由時間も、子どもに何かを強要はせず、どれくらいそれに熱中しているかを洞察することに集中する。
すると、子どもの天才性が見える瞬間が幾度もあるという。
例えば、ある子は絵を描き出したらトイレに行くのも忘れて描き続ける。
またある子はウクレレを何時間でも夢中で弾き続ける。
そのような集中している子どもが放つエネルギーがオーラのように感じられたエピソードを、多数抽出。
さらに子どもの将来の天職にまで可能性を広げて探り、リスト化する。
そして卒園時に、子どもと保護者に「天才リスト」としてプレゼントするという。
 「この天才リストが、大人になって仕事や自分の人生を選ぶ時の道しるべになってくれればと思います」

読書で、脳を創造力で満たす

また、なるには學問堂では読書にも力を入れていて、施設内には約1200 冊の良書が並ぶ図書室がある。
「なるにはでは、子どもたちはインターネット(検索)を使わないというルールがあります。
そのため、ひとたび子どもの〈○○になりたい〉夢を育ててあげれば、子どもはそのために必要な情報を書籍から得ようとしま
す。他方で、指導員は良書から答えを得る方法を丁寧に指導します。
この積み重ねで、子どもの興味のある分野で、脳を質の高い情報で満たしてあげることができるようになります。
夢を叶えた先輩たちの軌跡を辿る伝記は、特に効果的です」
今年度は、新1年生となる約40名の児童が入園する「なるには學問堂」。
近い将来には現在の梅田校に保育園を併設し、大阪・天王寺に2号園、東京への進出も視野に入れているという。
「とことんまで子どもたちの夢を刺激していくアプローチが“なるには式”です。
10 年後の2030 年には、今学童に通っている天才の卵たちが各界で活躍し、夢を生きる姿を見られればと楽しみにしています」